2011年5月21日土曜日

「祖国のビジネスチャンス、海外の生活環境」いいとこどりの投資移民ビザが申請急増―中?

2010年11月29日、中国社会科学院が発表した報告書「世界の安全と政治」によると、中国は世界最大の移民輩出国になりつつある。中国にはこれまでも70年代末?80年代にかけて留学ブームが、90年代には技術専門職従事者の海外移民ブームがあったが、現在の移民ブームはやや様相が異なる。当代の移民ブームにおいては、その多くの目的は「海外居住」にはない。外国籍を取得したうえで中国に残留するケースが顕著に増加しており、その申請者は主に新富裕層やキャリア成功組など、社会の上層部に集中しているのだ。英紙フィナンシャル?タイムズ電子版(中国語版)の報道。

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米国土安全保障省によると、同国のEB-5(投資移民)ビザの申請件数は増加の一途をたどっている。06年に744人、08年に1300人、09年に4128人、そして今年は前年比50%増の6300人が見込まれている。中国籍の申請者は08年を境に急増。これは、中国国内で不動産投資に成功した実業家が続出した時期と重なる。

中国で複数の移民申請代行エージェントを取材したところ、投資移民の申請者は年収1000万元(約1億2600万円)以上の実業家が圧倒的に多く、人気の移民先は米国、カナダ、オーストラリア。一般的に大国を好む傾向にあり、法制度や社会福祉制度が充実し、すでに多くの中国系移民がコミュニティを形成している国が多い。

彼らの移民の目的はずばり、「子の教育のため」。35?55歳の、学齢期の子を持つ世代が多いことからもそれが見て取れる。たとえ彼らの子女が米国の大学を卒業しても、そのまま現地で就職先を決め、就業ビザの取得にすんなり移行できるケースはそれほど多くはない。08年の金融危機後はこの傾向がさらに顕著だ。そのため、学業を終えても米国に滞在できる手段として選ばれるのがこの投資移民というわけだ。

また、自らの子女をふつうに留学させてしまっては、その渡航費や学費、生活費は「決して返ってこない支出」となる。しかし、投資移民ビザで入国すれば、現地で費やすそれらの費用は数年後になって自らの財布に返ってくるかもしれないのだ。もちろん、それは彼らの子女の才覚にもよるのだが。

投資移民のほとんどが、ビザを取得しても引き続いて中国を本拠地とする原因について、ある移民エージェントの責任者は、「彼らは祖国にビジネスチャンスを、海外に生活の安定を求めている」とズバリ指摘した。経済発展著しい中国。ビジネスを行うにはこれほど理想的なマーケットはない。おまけに彼らには“ホーム?アドバンテージ”―つまり、中国市場におけるコネクションや経済基盤を持っている。このチャンスを海外移住によってみすみす手放すわけにはいかない。一方、高度な社会福祉や教育機会など、生活環境として安定した海外の先進国にもいつでも足場を移すことができる。投資移民ビザの人気が高まる一方なのは無理もない。(翻訳?編集/愛玉)


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引用元:RMT

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